獣医師 徳永先生より「新型コロナウィルス感染症の最新情報(7月末時点)」についてお話いただきました。
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2020.08.17
今回も引き続き獣医師 徳永先生にご協力いただき、
「新型コロナウィルス感染症の最新情報(7月末時点)」についてお話いただきました。
マハロ・ワークス株式会社代表取締役
リライフアニマルクリニック院長 徳永 秀先生
※2019年11月16日開催のレジーナドッグクラブ会員感謝祭イベントに
ミニアトラクションお口とごはんの相談会セミナーとしてご出展
マハロ・ワークス株式会社
運営している福岡県動物病院「リライフアニマルクリニック」
「Dr.WANDEL」公式サイト(徳永先生が開発した犬用デンタルジェル)
≪RDC会員感謝祭イベントにてご協賛いただき、ご来場のお客様よりご好評いただきました商品です。≫
マスクに猛暑と例年よりも厳しい夏が続いています、皆様と大切なご家族はお変わりなくお過ごしでしょうか?
前回同様、人間の医療の情報が先行しているため、動物に関する情報は少なく、遅れて出ることが多いです。
そのため今回のお知らせはアメリカ農務省の7月末日時点での発表やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の確認された情報に基づいているため、現在の新型コロナウイルスの状況と多少づれがある事をご了承ください。
また未知のウイルスであることもあり、今後の情勢により内容が大きく変わる可能性もあります。
※2020年7月末時点での情報
悲しいお知らせからですが、前回のお知らせでお話させていただいたアメリカで初めて新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されましたジャーマンシェパードの体調が非常に悪化し回復の見込みがないため、7月に安楽死させたと報告がありました。
このジャーマンシェパードは飼い主さんが新型コロナウイルスに感染したため感染したと考えられており、同居する生後10か月の子犬は体調を崩していないものの新型コロナウイルスの抗体を持っている(感染したことがある)と分かっているそうです。
米国では犬12匹と猫10匹が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されています。
獣医師の診察によりこのジャーマンシェパードはリンパ腫にもかかっていたと判明したため、新型コロナウイルス感染が直接の原因か分かりませんが、もともと何かしらの持病があるワンちゃんが新型コロナウイルスに感染すると悪化する可能性が高いのは、人間と同様でネコちゃんにも同じことが言えそうです。
またイタリアのバーリ大学のジュゼッペ・エリア教授らの研究チームによると、新型コロナウイルス感染が多いイタリアで、感染流行地となった北部を中心に、ペットの犬540匹と猫277匹を対象に3~5月に実施したところ、PCR検査で犬猫ともに陽性は認められなかったものの、抗体検査では犬の3.4%、猫の3.9%が陽性であり、飼い主が新型コロナウイルスに感染している家庭の犬猫の方が感染していない家庭よりも陽性率が高いと報告されました。
この研究は専門家や研究者による評価や検証前の内容であるため、どこまで正確かは分かりませんが、感染した飼い主が犬猫にうつしてしまう可能性を裏付けるものと言えます。
また日本国内でも民間保険会社によるPCR検査で、新型コロナウイルスに感染した飼い主の預かり犬のうち陽性犬が2頭出たと発表があり、日本においてもペットにおける新型コロナウイルス感染のリスクが以前より高くなってきたと考えられます。
今までの様々な研究や報告から、人間からペットに新型コロナウイルスを感染させてしまう可能性が一番高いと言えます。
皆さんには引き続き手洗いうがいの徹底、マスクの着用、3密の回避等にご協力をいただきご自身の安全を守っていただくことが、大切な家族であるペットを守る一番の手段といえます。
アメリカ獣医師会もCDCも、症状が表れていないペットの検査をすることは推奨していません。
また日本の動物病院では新型コロナウイルスの検査を実施できる所は現在確認されていません。
もしもペットに新型コロナウイルスの症状が表れているようなら、難しいかもしれませんがパニックにならずに、地域の家畜衛生保健所もしくはかかりつけの動物病院にまずはご相談ください。
また前回の復習ですが、今の蒸し暑い季節に大切な家族であるペットについて、気を付けていただきたいことを下記に記載させていただきますので、ご参考になさってください。
①暑い季節で晴れた日の散歩は、日の出前と日の入り1時間以降にしましょう。
特にアスファルトの散歩コースでは、日中アスファルトに吸収された熱で、
ワンちゃんにとって体調不良を起こす可能性があります。
②室内室外に関わらずワンちゃんネコちゃんのマダニ予防をしましょう。
気温が高くなると特にダニや蚊が活動します。
マダニの予防は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の予防にもつながります。
③草むらや山などのマダニがいそうな場所では、長袖、長ズボンを着用して
噛まれないようにしましょう。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は新型コロナウイルスの話題で
あまり報道されていませんが、人間に感染し対象治療しか方法がなく、
西日本を中心に現在も亡くなられている方々がいます。
④特に持病がある子は、かかりつけの動物病院での定期健診を欠かさず行い、
何か普段見られない症状が出た場合は、すぐにご相談ください。
急に蒸し暑くなる季節のため、耳や身体の皮膚病、嘔吐下痢などの症状が出る
ワンちゃんネコちゃんが多くなり、心臓や呼吸器等に持病がある場合は急に悪化する
場合があります。
⑤暑い日はご自身が留守にされる時も冷房をつけていただき、
いつでも水分補給ができるように新鮮なお水を用意してあげてください。
老犬老猫で多いですが、脱水傾向になる場合が多い季節です。
⑥水をあまり飲まないという場合は、今の季節だけ缶詰フードの割合を増やしたり、
お腹の具合を見ながらキャベツなどのゆでた野菜を加えるというのも良いでしょう。
特に室内で日当たりが良い場所で寝たり休んでいることが多いワンちゃんネコちゃんは、注意が必要です。
⑦ワンちゃんネコちゃんとお出かけされる場合は、出来るだけ自家用車で、
休憩と水分補給はこまめに、社内温度に気を付けましょう。
ご家族以外の方と距離を保てる3密を避けた場所を選ぶようにしましょう。
⑧体調がすぐれない場合は外出を控えましょう。
厚生労働省や各自治体等がアナウンスしている感染拡大を防ぐよう、各自が務めることが新型コロナウイルス終息を早め、
大切なご家族を守ることにつながります。
新型コロナウイルス対策でもそうですが、かからなくてよい病気リスクを無くすことで、ワンちゃんネコちゃんの不要不急の外出を避けられるため、大切なワンちゃんネコちゃんの健康を守るために、予防をしっかり行うことが重要です。
また何度もお話して申し訳ありませんが、今回の新型コロナウイルスは無症状の方も多く、人間から犬猫に感染させてしまうリスクが非常に高いです。
ワクチンや治療法が開発されるまでの期間は特に、皆様には引き続き予防意識を高めていただければと思います。
皆様にとっても不自由だったりご不安だったりすると思いますが、デマや不確かな情報に惑わされず、大切なご家族やワンちゃんネコちゃんを守れるよう、健康管理や手洗い・うがい等の感染症対策に気を付けて、この非常事態を一緒に乗り越えていきましょう。